わかたけ・ちさこ
1954年、岩手県遠野市生まれ。岩手大卒業後は臨時教員として働き、結婚を機に30歳で上京し主婦に。55歳で夫を亡くし、小説講座に通う。デビュー作「おらおらでひとりいぐも」(河出書房新社)で2017年に文芸賞、18年には芥川賞を受賞。千葉県在住。
平成とは、一握りの勝者と、その他大勢の敗者が生まれた時代でした。勝者は拍手喝采を受ける一方、その下にいる大勢の人たちは「才能がないから」「努力が足りなかったから」と縮こまっているような時代だったんじゃないかしら。
その人たちの苦しみは、「自己責任」として片付けられました。それはシステムの不備を個人に還元する、権力の側に都合が良い言葉です。
話題になっている日産自動車のカルロス・ゴーン前会長は、競争社会のありようを象徴していると感じます。
世間では「合理化で日産を立て…