がんなどの病気やけがで長く入院したり治療を受けたりする高校生が学業を継続できるよう、文部科学省は2019年度から、タブレット端末などを使った遠隔授業や病棟への教師の派遣を後押しする事業を、5自治体で始める。高校生への教育支援はこれまで手薄で、退学や留年を余儀なくされるといった問題が指摘されてきた。
タブレットで遠隔授業、がん治療の高1「学び続けたい」
病気やけがで年間30日以上、入院した高校生は、文科省の13年度の調査で1124人。そうした生徒のいる高校は951校で全高校の2割近くに上るが、7割強が「学習指導を実施していない」と回答した。
留年や退学をせざるをえなかったり、特別支援学校などに転籍した場合に元の学校に戻れなくなったりする生徒が少なくないのが現状だ。高校生の対応が難しいのは、単位取得に一定の出席と成績が必要で、科目が多いため教師を確保しづらいことなどが要因。院内学級も、学校教育法に基づいて設置される小中学校段階と異なり、高校生向けは東京都など一部にしかない。自宅療養をはさみながら短期の入院を繰り返す例が増加傾向で、教育側も柔軟な対応が必要になっている。
文科省は15年、高校の卒業に必要な単位の半分未満を上限に、双方向型の遠隔授業を認めたが、通信環境の整備などの課題があり、あまり広がっていない。
こうした状況を受け、同省は今…