村上春樹さんの短編「納屋を焼く」を、韓国の名匠イ・チャンドン監督が映像化した「バーニング」の劇場版が1日、公開された。NHKの「アジアの映画監督が競作で村上春樹さんの短編を映像化する」プロジェクトの第一弾で、日韓で共同制作された。イ監督は「今の世の中、みんな何かに怒っている。その『怒り』の根源を探りたかった」と語る。
きっかけは、村上さんが2012年に朝日新聞に寄稿した文だ。尖閣諸島など領土をめぐる問題が、東アジアの文化交流に影響を及ぼすことを憂慮している。
村上さんは「『我々は他国の文化に対し、たとえどのような事情があろうとしかるべき敬意を失うことはない』という静かな姿勢を示すことができれば、それは我々にとって大事な達成となるはずだ」と寄せ、この20年で成熟の域を迎えた東アジアの文化交流への強い思いを記した。その思いをうけ、NHKが村上さんの短編の映像化を通じて、アジア各国との相互理解を深めようとプロジェクトを企画した。
イ監督はかつて韓国の民主化運…