産後うつなどをきっかけとした夫婦の離婚危機などを乗り越えてもらうため、宮崎県日南市は福岡市の家族支援会社「ロジスタ」と提携して「夫婦会議推進プロジェクト」をスタートさせた。夫婦の協力を促す目的で同社が製作した「世帯経営ノート」を母子手帳と一緒に配り、円満な夫婦関係の継続を市が支援する。
宮崎県は国内有数の離婚率の高さで知られる。日南市でも2016年調査で、中学生の約5人に1人が離婚などによる1人親家庭だと分かった。とりわけ、子どもが幼児期を迎えるまでに夫婦関係に亀裂が入りやすい傾向があるという。
1人親家庭になった場合、経済的に困窮して子どもの貧困につながるケースが多いとみて、市は夫婦関係が円満であり続ける方法を模索していた。
ロジスタは、共同代表の長広百合子さんと遥さんの夫妻が15年に立ち上げた。2人は百合子さんの産後うつなどをきっかけに産後10カ月目で離婚の危機に陥ったが、それを乗り越えた。その経験から、産後離婚を未然に防ぐために夫婦を支援する会社を設立した。
福岡県内で夫婦などを対象に産後離婚予防の講座を開く一方で、独自に製作したのが「世帯経営ノート」(B5判84ページ)。長広さん夫妻が離婚危機を乗り越える過程で「対話を通じて夫婦のパートナーシップを発揮していくことの大切さ」を実感したことが製作のきっかけになったという。
ノートでは夫婦を世帯の「共同経営者」と見なす。家事、子育て、仕事、お金、自由時間など9項目の「現状」「いいところと悪いところ」「理想」などを互いがノートに書き込みながら、夫婦を取り巻く多様な問題について対話を深められる仕掛けだ。夫婦の歴史を互いに確認するため「いつ出会ったか」「初デートはいつ」「妊娠が分かってどう思ったか」といった項目も設けられている。
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