宇都宮市馬場通り3丁目にあるファッションなどの専門店ビル「パルコ宇都宮店」が、5月末をめどに撤退を検討していることが2日、関係者の話で分かった。買い物客の郊外への流出などで、同市では中心市街地の空洞化が深刻な問題となっている。若者らが集う象徴的なビルだった同店が閉店すれば、周辺商業地への影響も懸念される。
パルコ宇都宮店は1997年3月20日にオープンした。土地所有者らが相生地区市街地再開発組合をつくり進めた事業で、同組合が建てたビルに、若者に人気の衣料品や生活雑貨のテナントなどが入り、連日、買い物客でにぎわった。
当時、すでに大型店の郊外転出や空き店舗の増加などが始まっており、パルコには郊外に流れた客を取り戻す地域の起爆剤としての役割を期待する声もあった。現在も地下1階から地上10階までの各フロアに、全国ブランドの書店、楽器店、アウトドア用品店、カフェなどが入っている。
しかし関係者によると、最近は売り上げに伸び悩み、撤退するテナントも続いた。周辺で上野百貨店や西武百貨店などが店を閉じるなかで、パルコは様々なイベントなどで集客力の向上を目指したが、大きな改善には至らなかったとみられる。同社は2月中に正式に撤退を決める見込みで、関係者らと後継店を探しているという。
取材に対してパルコ宇都宮店は「社として決定した事実はない」としている。
パルコは2016年に千葉市、17年に大津市の店も閉店している。(津布楽洋一)