今にも動き出しそうなリアルな動物彫刻の展覧会「木彫りどうぶつ大集合! はしもとみおの世界展」(朝日新聞社など主催)が大阪府東大阪市の市民美術センター(吉田6丁目)で開かれている。動物たちを見るだけでなく、実際に触って楽しむことができる。
展示されている作品は約590点。主にクスノキから彫り出していて、多くの動物たちが原寸大だ。
作者のはしもとみおさん(39)自身や友人が飼っていた犬や猫のほか、動物園にいるオランウータン、チンパンジーなど実在のものをモデルにしている。「動物園では飼育員さんに動物の性格も聞いて、作品に反映している」という。
展覧会としては珍しく、写真撮影やスケッチができるだけでなく、手で触れることができる作品も多く展示。最大の作品は三重県の動物園にいる高さ1メートル以上あるクマ。体のあちこちに隠れている10匹の小動物を探す楽しみもある作品で、はしもとさんは「9匹は見つけられるが、10匹目は難しいと思う」と笑う。
会場では、はしもとさんの制作風景の動画も上映されている。
はしもとさんは兵庫県出身。現在は三重県いなべ市の工房で制作活動に取り組む。動物彫刻家を目指した原点は身近な動物たちを失った経験だ。幼い頃に飼っていた犬がわずか約1カ月で病気で死んだ。
獣医師を目指していた15歳のときには、兵庫県尼崎市で阪神・淡路大震災を経験。近所にいた犬や猫たちの姿が見えなくなり、生死も分からなかった。「突然周りから大好きな動物たちがいなくなった。医学では死んでしまったものを取り戻せない。動物たちの姿をずっと残したかった」
美術大学に進み、「もう一度、あの子たちに触りたい」と、動物を立体で再現できる彫刻を学んだ。大学院時代から制作活動を始め、これまでに数千点以上の作品を手がけ、全国各地で展覧会を開いている。
はしもとさんは「美術展だとは思わず、単純に動物たちに会いに来て、触ってほしい」と話す。
展覧会は3月3日まで(月曜休館)。開館は午前10時~午後5時。入館料500円。問い合わせは東大阪市民美術センター(072・964・1313)へ。(大野正智)