昨年７月に死刑が執行されたオウム真理教元幹部・広瀬健一元死刑囚（執行時５４）の遺稿が、２７日に出版される。被害者への謝罪と、自分がなぜ道を誤ったのかをたどり直してつづっており、事件の被害者は「カルトに魅力を感じた人が引き返す手がかりになることを願う」と語る。

広瀬元死刑囚は、早稲田大大学院で物理学を研究していた１９８８年に入信。９５年の地下鉄サリン事件では丸ノ内線の車内でサリンを散布し、２００９年に死刑が確定した。

昨年、死刑執行後に家族に引き渡された荷物のなかから、０４年３月付の謝罪文がみつかった。直筆のまま、本の冒頭に掲載されている。

〈地下鉄サリン事件から九年の歳月が過ぎました〉。重傷者や家族らの苦しみがなお続いていることを知り〈後悔の念ばかりが起こります〉と書き、自分が生きていることが申し訳ないと述べている。

〈私の犯した罪はいかなる刑に服そうと／いかなることをしようと償いきれないものと思いますが／償いを模索し続けるべきだと思っております〉

本のタイトルは「悔悟 オウム真理教元信徒 広瀬健一の手記」（朝日新聞出版）。謝罪文のほか、「学生の皆様へ」で始まる手記や、拘置所で書いていた「広瀬健一の手記」などが収められている。

「学生の皆様へ」は、カルトへ…