インドネシアで、世界最大級のトカゲで固有種のコモドオオトカゲ(コモドドラゴン)や、絶滅の危機にあるオランウータンを睡眠薬で眠らせて海外に密輸しようとする事件摘発が相次いだ。密売と転売のネットワークが存在しているとみられ、警察が入手経路などを調べている。
地元メディアによると、東ジャワ警察は27日、コモドオオトカゲ41頭を海外に密輸したネットワークの存在を明らかにした。国東部の東ヌサトゥンガラ州で盗まれ、シンガポール経由で、アジアの3地域に運ばれたという。運搬中の5匹の赤ちゃんを保護した。
コモドオオトカゲは、同州のコモド島と周辺にのみ生息し、体長2・5メートル前後、体重60キロ以上に達する場合もあり、大型の哺乳類もエサにする。研究や繁殖などの目的を除く輸出入が規制されている。
警察は少なくとも9人の容疑者を逮捕した。転売を繰り返すなかで、売価が膨らんでいく実態も明らかになった。当初600万~800万ルピア(約4万6千円~6万2千円)で売られたのが、次は1500万ルピア~2千万ルピア(11万6千円~15万5千円)と倍増し、最終的に5億ルピア(約388万円)で売られる可能性があるという。
同州の生息地コモド国立公園による2017年の調査では、野生の生息数は計2762頭。同公園は外国人にも人気の観光スポットだが、「エサとなる鹿の密猟でオオトカゲの個体数が減っており、地元の求めで一時的な閉鎖も検討している」と環境・林業省の担当者は、朝日新聞の取材に話した。
一方、同国の自然資源保護センター(BKSDA)は23日、バリ島の空港でオランウータンの子どもを密輸しようとしたとして、警察がロシア人の男(27)を逮捕したと発表した。
発表文によると、男は22日夜、ソウル経由ウラジオストク行きの便に搭乗する際、オランウータンを入れたスーツケースを手荷物検査に持ち込んだ。検査官が異変に気づき、確認したところ、中からかごに入った推定2歳のオスが眠った状態で見つかった。スーツケースからは、睡眠薬やトカゲ2匹、カメレオン4匹も見つかった。
男は容疑を認め、「先に帰ったロシア人の友人からもらった」「オランウータンは、ジャワ島の露天市で3千ドル(約33万円)で購入した」などと供述している。
インドネシアはオランウータン…