天皇にはその地位を離脱して普通の人になる「脱出の権利」が保障されねばならない――。“天皇に人権はあるか”をめぐって14年前、著名な憲法学者が著書でこう提起した。退位が実現する今、改めて考えたい。
憲法学者の奥平康弘・東大名誉教授(2015年死去)が、05年の著書『「萬世一系」の研究』(岩波書店)で提起した。
万人に適用されるべき権利保障の体系が天皇にはまともに適用されていないと指摘。すべての人に保障されているはずの権利や自由が構造的に奪われている場合には、「窮極(きゅうきょく)の『人権』」として、その制度の枠組みから逃れて普通の人間になる「脱出の権利」が保障されるべきだと説いた。
「象徴の務め」を果たせなくな…