第25回島清(しませ)恋愛文学賞(日本恋愛文学振興会主催)の贈呈式が17日、金沢市広坂2丁目の石川県政記念しいのき迎賓館であり、女性同士の恋愛を正面から描いた小説「ののはな通信」(KADOKAWA)が受賞作に選ばれた作家の三浦しをんさんが出席した。三浦さんは着物姿で「性別に関係なく、恋愛感情は当然発生すると思って書きました。『恋愛』と名のついた賞をいただけたことはとてもありがたい」と喜びを語った。
同じ女子校に通う「のの」と「はな」が恋に落ち、別れを経て、40代に至るまでの生き方をつづった作品。2人の手紙やメールのやりとりによる書簡形式で全編を貫く。「立場が変化しつつも支え合って生きていく女の人同士の恋愛を含んだ関係を描きたかった」。三浦さんは贈呈式前の会見で、作品に込めた思いをそう話した。
選考委員の一人、作家の林真理子さんは「我が国のLGBTに関する小説のなかで白眉(はくび)となるでしょう。そして、純粋な恋愛小説として感動できる」と称賛した。(篠塚健一)