突然激しい眠気に襲われ、眠り込んでしまう睡眠障害「ナルコレプシー」を抱える男性が今春、西日本の大学の医学部に進学した。障害のためにいったんは医師への道をあきらめかけたが、2年前の夏、睡眠について研究する教授との出会いで、挑戦する気持ちを取り戻した。
この春、広島市の私立の中学・高等学校を卒業した巻幡(まきはた)健介さん(18)。3月20日、茨城県つくば市の筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構を訪ね、機構長の柳沢正史教授(58)に、医学部合格を報告した。
健介さんの症状がわかったのは小学校高学年の時。学校でも塾でも眠る息子を母の育子さん(46)は何度も注意した。しかし、食事中も頭をのけぞらせて眠る姿を見て、育子さんは少しおかしいと思った。
中学1年の秋、愛媛大学付属病院睡眠医療センターを訪ね、ナルコレプシーと診断された。覚醒を持続させる「オレキシン」という物質が脳内で作れないために起こる症状。座っていると毎日数分から十数分間、何度も眠ってしまう。病気と分かって育子さんは少しホッとしたが、父で医師の清さん(52)は「大変なことになった」と覚悟したという。
千人に1人程度はいるとされて…