滋賀県彦根市西今町の県立盲学校で24日、生徒や教職員が視覚障害者用の碁盤「アイゴ」を使って囲碁を体験した。
アイゴは碁盤の線が立体的に盛り上がり、裏に切れ目が入った碁石を格子にはめ込んで打つ。黒石の表面には突起があり、白と判別できる。少々振動しても石がずれないため、触って配置を確かめ、列車の中などでも楽しむことができる。
1980年ごろに考案されたといい、十数年前に全盲でアマ四段の柿島光晴さん(41)=東京都町田市=が復活させた。柿島さんはアニメ「ヒカルの碁」の音声を通じて囲碁に興味を持ち、14年に「日本視覚障害者囲碁協会」を設立。全国の盲学校にアイゴを寄贈し、指導している。
この日は視覚に障害がある生徒や教職員8人が参加。初心者用の小さな盤で囲碁の基本を学んだ。高等部2年の村上萌那さん(16)は「マス目が浮き上がっていて、黒と白の石の判別もわかりやすくて面白かった」。柿島さんは「のみ込みが早く、楽しい気持ちが伝わってきて、楽しく教えられました」と話した。
協会は岩手県大船渡市で台湾や韓国など国内外の盲学校による囲碁大会を開いており、5月に第3回大会がある。柿島さんはアイゴの十九路盤や試作品の九路盤などを県立盲学校に寄贈し、「滋賀でも囲碁部を作って」と呼びかけた。(大野宏)