日本海に浮かぶ隠岐諸島に位置する海士町。沖には定置網が張られていた=2019年3月4日、島根県海士町、三浦惇平撮影
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少子高齢化に直面する地方自治体。4月の統一地方選では、地方創生も大きなテーマとなりました。そんな中、「地方創生のトップランナー」と呼ばれている離島があります。日本海に浮かぶ隠岐諸島に位置する島根県海士(あま)町です。かつて人口流出が止まらなかった町は、海産物を冷凍する施設を作ったり、高校に島外の生徒を呼び込んだりして活気を作り、Iターン移住者は過去15年間で650人を超えました。町を変える分岐点となったのが、17年前の町長選です。選挙が町にどんな変化をもたらしたのか。地方に共通する課題解決のヒントを探るため、統一地方選前の3月、26歳の記者が海士町を歩きました。
特集「住み続けたい島へ SDGs 島の人たちと考えた」
出馬要請「町を変えられるのはあなただけ」
海士町の地図
鳥取県境港市から船で約3時間。肌寒さの残る3月上旬、日本海に浮かぶ海士町の外湾では、漁船が養殖いかだの間を進んでいた。漁港は磯の香りに包まれ、水揚げした特産の岩ガキが手際よく出荷されていく。
海士町はかつて、典型的な過疎の離島だった。
町でとれる岩ガキは特産品として、島外にも出荷されるようになった=2019年3月7日、島根県海士町、三浦惇平撮影
1950年には7千人近かった町の人口は、90年代に3千人を切った。若者を中心に人口流出が加速し、町を引っ張る新しいリーダーが求められていた。
2002年5月の町長選に立候…