約80年前に撮影された、約1分のモノクロ映像「冬でも泳げる 温泉プール」。ずらっと並んだ障子戸が一斉に勢いよく開くと、子どもたちが次々と、プールとみまがう巨大な露天の浴槽に飛び込んだ。泳いだり騎馬戦をしたり――。
【全国の動画】80年前の日本の姿、1940アーカイブス
朝日新聞が1938~43年に制作した子ども向けニュースの映像だ。この不思議な「温泉プール」は実は今も松江市玉湯町の温泉街「玉造温泉」にほぼそのままの形で存在している。
湯之介の宿・長楽園の混浴露天風呂「龍宮の湯」だ。長楽園営業課の永井龍之介さん(23)に映像を確認してもらうと、「ここで間違いありません」。
明治に出来た湯
長楽園は1868年(明治元年)に創業。旅館の名物となっている龍宮の湯は1909年(明治42年)にできたという。戦後、旅館の建物も龍宮の湯も数回改修されたというが、映像にもある竜の石像などは当時のままだ。風呂のすぐわきに立つ旅館の建物も、多少の違いはあるが、基本的には映像の風景がそのまま残されている。
浴槽の大きさは現在、約400平方メートル、水深70~80センチだが、当時は水深が10~15センチほど深かったといい、プールのように泳ぐこともできたとみられる。また大正の初めごろまでは、宿泊客だけではなく、地元の人たちにも開放していたという。
永井さんは「子どもたちがどん…