「料理の鉄人」として知られる道場六三郎さん(88)。料理対決の際は、常に心がけていたことがあった。ふるさと石川の思い出の味、若き料理人へのメッセージも語ってもらった。
――山中町(現・加賀市)のご出身です。幼少期の思い出の味はなんでしょうか
貝焼きは父親の十八番で、よくやりましたね。大きなホタテ貝を七輪にのせて、大根の千切りをばーっと入れて、イワシをぬか漬けにした「こんかいわし」のぬかとお酒ちょっと、そしてタカの爪と刻んだネギを入れて焼く。
父は料理に対する関心があって、いろいろやりました。寒ブナのそろばん、といって、大根おろしに酢を入れたものと刺し身をあえたものや、フグのぬか漬け、イワシのぬか漬け、ナマコなんかも食べた。
弁当のおかずにはこんかいわし…