31年ぶりの商業捕鯨再開で、沖合操業の基地となる山口県下関市。鯨食文化が根付く街で、どんなクジラ料理が味わえるのか。記者が食べ歩いた。
クジラの町、期待と不安の船出 商業捕鯨31年ぶり再開
歓楽街・豊前田(ぶぜんだ)町の一角にある「下関くじら館」。1977年に開店したクジラ料理の専門店だ。下関は大洋漁業(現・マルハニチロ)が創設したプロ野球・大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)の本拠地だった。店はベイスターズファンが集う場にもなっている。
カウンターに座り、まず付き出しでいただいたのは小さく切ったクジラの心臓。小島純子店長によると、南極海のクロミンククジラ。口に含んでかむと、濃厚な味がじゅわっと広がる。そして刺し身と珍味の盛り合わせ。小島さんが部位をていねいに解説してくれた。「百尋(ひゃくひろ)は小腸、さえずりは舌……。これはのど仏。めったに食べられないですよ」
再開される商業捕鯨では、重きを置いていた南極海のクジラは捕獲できない。ただ小島さんは「心配はしていない」ときっぱり。「クジラの種類によって、それぞれの得意分野がある。おいしく食べてもらう技術は持っています」
市役所食堂の定番は「鯨カツカレー」。昔ながらのオーソドックスな料理があれば、一風変わった味もある。
鯨肉を使った「くじら玉」が食べられると聞き、お好み焼き店を下関市内外で展開する「かわ本(もと)」の本店へ向かった。高価で手が出しにくいイメージが付いた鯨肉になじんでもらおうと、2012年にメニューに加えた。特に年配者に人気があるという。
エリアマネジャーの邊見(へんみ)俊治さん(41)に焼いてもらった。関西風で、多めのネギを混ぜ合わせることで、クジラ特有の臭みを抑えている。焼き上がると、すじ肉を入れたあんかけ風のソースを上からまんべんなくかける。鉄板からシュワーッと香ばしい風味が漂う。予想外にあっさりしていて、文句なくビールに合いそうだ。
邊見さんは「これ目当てに市外…