11日午前10時25分ごろ、長崎発博多行きの特急「かもめ16号」(6両編成)が、長崎市のJR長崎線浦上―現川(うつつがわ)間のトンネルを通過中に異音がしたため、緊急停車した。ボーリング作業を行っていた掘削機がトンネルを貫通し車両に当たった。車両前部に損傷を受けたが、けが人はいなかった。長崎―諫早間は上下線で運転を見合わせたが、安全を確認したうえで約6時間後に再開した。
JR九州長崎支社と鉄道・運輸機構によると、ボーリングは、同市川平町の丘陵地帯で同機構の発注で進めていた井戸の試掘工事。掘削機が、地上から約14メートル掘り進んだところ、トンネル天井部を突き抜け、金属製の先端が車両に当たったという。九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)用の別のトンネルの掘削の影響で近辺で生活用水などの水枯れが起きたため、機構が渇水対策で井戸を掘る計画だった。同機構は「図面上ではトンネルには重ならないはずだった」と説明している。
特急の乗客154人は、現川駅で下車するまで約2時間車内で缶詰め状態になった。事故の影響で特急・普通列車で計33本が運休するなど、約6千人に影響が出たという。機構は「一歩間違えば大事故につながる可能性があり、深刻に受け止め、原因究明を徹底的に行う」とのおわびのコメントを出した。(小川直樹)