NTTドコモは全国に約2300店ある販売代理店の手数料体系を見直す。これまではスマートフォンなどの端末販売台数に応じた手数料を重視してきたが、クレジットカードの契約獲得など周辺サービスの販売成果に応じた手数料を手厚く配分する。今秋の携帯電話の制度改革に対応する。
ドコモの吉沢和弘社長が朝日新聞のインタビューに答え、明らかにした。
携帯電話をめぐっては、料金値下げを促す法改正があり、通信契約を条件に端末代を大幅に割り引く「セット販売」が秋から禁止される。端末代は最大で半額になるケースがあったが、値引きの上限は2万円に規制される。このため、端末は実質値上がりし、売れ行きが落ちるとみられている。ドコモは2019年度の端末販売台数を前年度比13%減と見込む。
ドコモショップのような販売代理店は、販売台数に応じて携帯会社から入る手数料が収入の柱。秋以降、端末販売の落ち込みが代理店の経営を直撃する恐れがあり、収益構造の見直しを迫られている。吉沢社長は「販売台数は大きな指標だったが、これから重要なのはスマホを使ったサービスの促進だ」と話す。
見直しの一環として昨年から始めたのが高齢者向けの無料スマホ教室だ。ほぼ全店で実施し、ドコモから代理店に手数料を支払っている。「スマホの理解度が上がるだけでなく、シニアの方が実際にサービスを使えるようになる」と強調する。
高齢者がスマホを使いこなすようになれば、ドコモにとってはスマホを介した別のサービスによる収益につながるとみている。
店舗の改革にも取り組む。東京都内にある直営の実験店「dガーデン五反田」では、シェア自転車やカフェを導入した。ドコモの利用者以外も呼び込むねらいで、「ファンが集う場にしたい。dガーデンは試金石だ」という。
今年度中に同様のモデル店を全国で10店舗まで拡大する計画だ。(井上亮)