巨人の次期監督候補に名前が挙がっていた阪神の星野仙一オーナー付シニアディレクター(SD)は10日、大阪市内で開いた会見で阪神残留を明言した。一部で過熱する報道に自ら終止符を打ち、ペナントレース中の進退騒動は決着した。だが一方で、球界の盟主を自任してきた巨人が球団内部での迷走ぶりを露呈。また星野氏も野球人として残るユニホームへの未練を、正直に口にした。
◇ソフトバンク・王監督
残留と思ったよ。ジャイアンツは行っても大変だから。
◇岡田監督らひと安心
星野SDが残留を発表した10日、岡田監督以下阪神のスタッフ、選手も安堵(あんど)の表情を浮かべた。
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◆岡田監督
球団から電話で連絡があった。はっきりしてよかった。これからもサポートしてもらえる? そやな。ゲームに専念できる? そういうのはないわ。
◆金本
(02年オフFA宣言した際、SDに阪神入団を口説かれる) SDは、僕が阪神に来た時に呼んでくれた人。(球団に)おってもらわんと。一安心して頑張ります。
◆赤星
良かったね。というかコメントしようがない。とりあえず、こちらは(試合に)集中したい。星野さんも、そう考えてくれたのだと思う。
◇迷走続く巨人--監督人選振り出しに
阪神の星野オーナー付シニアディレクター(SD)が残留を表明し、混迷を極める巨人の次期監督人事問題。滝鼻卓雄オーナーが「人心一新というと大げさだが、何らかのことをしたいと思っている」とチーム改革を唱えたことから監督人事が取りざたされ始めた。
星野氏周辺の複数の関係者の話では、読売グループ関係者が星野SDに対し、数回にわたり接触して「巨人を助けてもらいたい」などと打診していたという。読売グループ内では「氏家さん(球団相談役、日本テレビ取締役会議長)は星野さんが表に出てこないゼネラルマネジャーでは視聴率が稼げないので監督としてやってもらいたい、と考えているようだ」と星野SDの監督就任を求める声も上がっていた。
一方、星野SD側も監督に就任する場合のスタッフについて検討していたとされる。
この日の星野SDの決断について、関係者は「アンチ巨人でこれまでやってきた星野氏はファン感情から巨人入りへの抵抗を感じていた」とみている。星野SDの監督招へいを巡る“騒動”の末、巨人の監督人事は振り出しに戻った。
今後の人選について、滝鼻オーナーは「巨人OBを持ってくるか、OB以外から持ってくるかというのは、これから慎重に考えたい」と幅広く考える方針。堀内監督の続投にも「(8月に入ってからの好調な戦いぶりも)吟味しながら、(監督人選を)やるつもり」と可能性を残している。関係者によると、原氏に対し6月上旬までに球団側から次期監督就任の打診があったとされる。しかし、原氏は「非公式にも打診は受けていない」と否定し続けている。
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◇ユニホームに未練も
星野氏の会見での一問一答は次の通り。
--会見を開いた経緯は。
報道が勝手な方向へ進んでいた。はっきりとものを言わないといけない時期に差し掛かっていると思った。
--一連の報道についての感想は。
読売とはやり合ってきたが、けんかではなく野球界の政策論争。ライバルチームからお褒めの言葉をいただくのは、ありがたいことです。
--巨人から監督要請はあったのか。
正式な要請がないんだから、仮の話に対して答えるのは失礼だと思っていた。
--残留を決めた理由は。
ファンの声というか、思いが伝わってきた。ファンとともに戦ってきたし、支持されてきた自負心もある。
--ユニホームへ未練は。
野球人ですから。おれはどこのユニホームも似合う。(今回は)いいタイミングじゃなかったということでしょう。