パイオニアは,車載機器に向けた地上デジタル・チューナ「GEX−P7DTV」を開発し,2005年11月中旬に発売する。2005年10月4日~8日に開催中の「CEATEC JAPAN 2005」の同社ブースに出展中である。価格は税込みで10万5000円。地上デジタル放送に対応する車載向けチューナを製品化するのは,2005年5月に発売した松下電器産業に次いで2社目である。3社目は富士通テンで,2005年12月から販売を始める。
今回のパイオニアの製品は,映像や音声の安定的な受信,1セグメント放送への対応方法,汎用性の高さといった点に特徴がある。安定的な受信に向けて,走行時や弱電界エリアで地上デジタル放送の受信時に発生しやすいデジタル放送特有のエラーを補正する独自技術「デジタル リバイズ エンジン」を使う。例えば,映像中のブロック・ノイズや音声の途切れを補正できるとする。そのほか,地上デジタル・チューナとOFDMの復調LSIを2組使い,それぞれで受信状態の良い部分を合成する「キャリア合成」方式を採用した。
2006年4月1日から放送サービスが始まる1セグメント放送に対しては,放送波によるソフトウエアのバージョンアップによって対応できるようにした。松下電器産業が2005年6月に発売した製品では「SDメモリーカード」を使ってバージョンアップする。
汎用性については,多くの車載モニタと接続できるように,映像出力にRCA映像端子とS端子,D2端子に変換可能な「専用コンポーネント端子」の3種類を用意した。さらに,地上デジタル放送の受信専用のフィルム・アンテナを同梱する。フィルム・アンテナは横100mm程度,縦55mmの透明フィルム内に設けたアンテナ部と,アンテナで受信した信号を増幅する横10mm,縦50mmのアンプ部で構成する。同梱するフィルム・アンテナは2個で,例えば自動車のリア・ガラスの左右に1個ずつ張り付けて使う。
今回の製品の外形寸法は横276mm×奥行き162mm×厚さ30mm。松下電器産業の製品の239mm×170mm×53mm,富士通テンの製品の210mm×179mm×50mmと比較して筐体の厚さが3/5程度と薄い特徴がある。 |