1. 鯨
日本の捕鯨には1,200年以上の歴史があります。昔は日本近海にも数多く、古代の原始的なモリ漁法でも十分採れたので、『古事記』という日本最古の神話集にも捕鯨の歌が収録されています。江戸時代(1603~1867)には捕鯨の基地も数カ所あって、栄えました。
第2次大戦後には、日本には大変な食糧難の時代があり、その際に鯨は重要な動物性たんぱく源として日本人を飢餓から救ったのです。また鯨は「捨てるところがない」といわれるほど利用価値が高く、例えば、油は工業用油や洗剤、化粧品の原料となり、歯や骨、ひげなどは工芸品に、筋はテニスラケットのガットにも使われました。
2.鯛
鯛は「めでたい」という言葉との語呂合わせから、結婚式などの祝いや祭りの席に出される、縁起のよい魚とされています。また、その姿と色の美しさから海の魚の王とも称されます。鯛をその形のまま食べると運に恵まれるともいわれ、料理して出すときは特に「尾頭付き」が好まれます。日本近海で採れるため漁法も発達し、江戸時代(1603~1867)には生きたまま搬送する技術も考案されました。
3.
鯉
鯉は、激流をさかのぼりあらゆる障害を克服できる魚と信じられており、大きな目的を成し遂げる強さと勇気、忍耐力を備え持つものとしての象徴とされています。
このことから、日本ではこの鯉にあやかって男の子が強く生きていけるようにと願い、5月5日の子供の日には、鯉の形をした「こいのぼり」を立てる習慣があります。
4.金魚
日本人が好む観賞魚で、たいていは金魚鉢というガラスの鉢の中で飼います。16世紀初頭に原種が中国から輸入され、江戸時代(1603~1867)には種類も増えて、金魚を観賞用に飼うことが盛んとなりました。1960年代までは、東京でも金魚を入れた水桶を天秤棒でかついだ金魚売りが存在しました。夏祭りや縁日の露店では「金魚すくい」という遊びが行われ、今でも夏の風物詩となっています。
5.海老
腰が曲がり髭の長い海老は、その形が長生きした老人に似ているため、鶴・亀同様、長寿の象徴とされています。中世には「海の翁」などとも呼ばれていました。これを表す日本語の文字も「海の老人」という意味です。
特に伊勢海老は、その大きさ・姿・色の点で最も好まれ、結婚式などのお祝いの席によく出されます。ロブスターと似ていますが、大きなハサミはありません。
6.鶴
大型で頸と脚が長く、その美しさから日本古来の民話や絵画に多く登場しています。10月にシベリアや蒙古から日本に飛来し、翌年3月には帰って行く冬の渡り鳥です。日本では特に長寿を象徴する動物として尊ばれ、祝いごとの図案や装飾によく使われます。折り紙の千羽鶴は、病気の回復と長寿を祈って病人に贈られます。鶴の生息環境を保護する運動も盛んで、鶴は環境保護の象徴にもなっています。
7.亀
日本には「鶴は千年、 亀は万年」ということわざがあり、鶴とともに亀は長寿の動物としてめでたいものとされています。古代中国と朝鮮が鶴と亀を長寿と繁栄の象徴としたのが日本に伝わり、今では日本人の生活に深く根差したものとなっています。
琴や能などの日本の伝統芸能には、「鶴亀」という作品があり、これを祝辞の代わりに演じることもあります。
8.うぐいす
独特の美しい鳴き声で春を告げる鳥として、古来より日本人に愛されてきた日本特有の小鳥です。ちょうど梅が咲くころ里に来て鳴き始めるので、梅とうぐいすの組み合わせは絵や詩歌の題材になります。江戸時代(1603~1867)には飼っているうぐいすを鳴き競わせることも盛んに行われました。声の美しい、女性の電話オペレーターやアナウンサーなどを「うぐいす嬢」ともいいます。
9.蛙
蛙は古くから日本人に親しまれてきました。日本の農業は水稲が主であり、そのため水田にはさまざまな生き物がいました。蛙もその水田や池、川に多く住んでいます。『古今和歌集』(905年)にも「蛙の鳴き声を聞くと歌を詠みたくなる」と書かれているように、日本人は蛙の声にさえ季節を感じ、歌を詠みました。蛙の子であるおたまじゃくしは子供に人気があります。
10.犬
犬は、人間が野生動物の中から家畜として獲得した最初の動物です。従って、日本でも新石器時代から家畜としての犬がいました。しかし、農耕文化の日本では、ヨーロッパやユーラシアの牧畜民族と違い、猟犬よりも番犬としての役割の方が多かったようです。江戸時代(1603~1867)には愛玩用としての犬も出てきました。日本を代表する犬には、秋田犬、土佐犬、柴犬などがいます。
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