全国の警察が04年に取り扱った拾得物が約1070万点と過去最高を記録したことが警察庁の調べで分かった。大半は鉄道や大型商業施設などで忘れられた「傘」。拾得物は半年間で所有者が判明しない場合、都道府県が処分することになるが、激増しているため関係者は手を焼いている。同庁は取り扱い業務の見直しを検討するため、法律の専門家や鉄道事業者の代表らで構成する「遺失物行政研究会」を設置、同研究会は18日に初会合を開き、見直しを検討する。
一方、遺失物届も増加しているが、04年は742万点で、「カードや携帯などは別にして、傘などはなくしても届け出ない」(同庁幹部)のが実情だ。
遺失物法では、鉄道施設などの拾得物は、駅長などから届け出を受けた警察署長が半年間保管。返還を受ける人が見つからない場合は都道府県に所有権が移り、処分される。
現行の制度は58年に改正された遺失物法に基づいて運用されているが、同庁は(1)管理・処分にかかる経費の増大(2)生活圏の拡大に伴い届け出、返還の利便性を欠く--などの理由から、制度の見直しに着手することを決めた。最近増加しているペットなど動物等の遺失物への対応も考慮し、同研究会に年度内をめどに提言を求める。【河嶋浩司】