巨人が投手力強化の一環として、大リーグ・メッツの石井一久投手(32)の獲得に動く方針を固めたことが20日、分かった。新生・原巨人にとって、来季のV奪回には投手陣の整備が必要不可欠。そこで日米での実績を誇る石井に白羽の矢を立てた。一方で古田敦也新監督(40)が就任した古巣ヤクルトも獲得に動く可能性があり、両球団での争奪戦にも発展しそうだ。
3年連続V逸の5位に終わった巨人は、来季へ向けた準備を水面下で進めている。その中で浮上したのが石井の獲得構想だ。すでに原監督は清武球団代表らと戦力補強について協議。「大事なのはまず日本人選手。次に外国人、次に新人」という指揮官の補強プランに沿って作業を進めているが、急務となっている投手陣整備の“目玉”として浮上したのが石井獲りだった。
石井は01年オフにポスティング・システム(入札制度)で大リーグ・ドジャースに移籍。今季はメッツでプレーし、19試合で3勝9敗、防御率5・14と不本意な成績に終わった。しかし、日米通算で117勝を挙げている実績に対する巨人側の評価は高い。石井は今季で4年契約が終了。06~07年はメッツ側にオプション契約の選択権がある。この点がクリアされれば獲得への動きは一気に本格化することになる。
巨人は今季、チーム防御率がリーグ5位の4・80に低迷。投手陣の弱体化は深刻な状況で、今月5日に原監督が就任を正式受諾した際には、滝鼻オーナー自ら「投手陣の強化が最大の課題」と要望した。石井獲得に成功すれば、ベテラン工藤、林、内海、高校生ドラフトで1巡目指名した辻内(大阪桐蔭)らで左腕王国を築くことも可能で、投手王国の再建にもつながる。
石井自身はヤクルト時代の97年に対巨人3勝0敗、防御率1・64。通算でも16勝をマークするなど“巨人キラー”として活躍していた。その天敵が味方となれば巨人にとっては心強い限りだが、その一方で古田新監督が就任したヤクルトも石井獲得に動き出す可能性もある。石井は10年間バッテリーを組んだ古田監督を兄のように慕い、かねて監督就任の際には日本球界復帰の希望を口にしていた。
今後の展開次第では両球団による争奪戦に発展する可能性もあるが、石井は来季について「もし、選択を迫られるようなことがあったら、家族とお世話になった方にしっかり相談して、今後の歩き方を決めます」と日本球界復帰の道も選択肢の1つにしている。巨人かヤクルトかメジャー残留か--いずれにしても、石井の選択が来季のセ・リーグ戦線に大きな影響を及ぼすことになる。
≪桑田の“残留交渉”来週以降に≫来季残留に関して、巨人の桑田と清武球団代表との話し合いが来週以降に行われることになった。「会談の予定?もう(お互いに)考えは分かっているからね」と清武代表。週明けの25日にスタートする秋季キャンプに桑田は不参加のため、その間にスケジュールを調整して会談する予定だ。すでに残留の方向だが、球団側は大幅な減俸を提示する方針でいる。