20歳を過ぎた学生時代に統合失調症と診断された男性2人が、国民年金に任意加入していなかったために障害基礎年金を支給されなかったのは違憲として、それぞれ国に不支給処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は27日、2人への不支給処分を取り消す判決を言い渡した。大門匡(だいもんたすく)裁判長は「2人は20歳前に発病したと認められ、支給の適用要件は満たされている」と指摘。このため憲法判断には触れず、賠償請求も退けた。
法律上は、初診日で区切っていた発症時期を、事実上さかのぼって認定したもので、原告側の代理人弁護士は「無年金の精神障害者の救済対象を広げる画期的な判決」と評価している。精神障害者の学生無年金訴訟で原告側が勝訴したのは、4月の福岡地裁判決(確定)以来。
訴えたのは都内在住の37歳と45歳の男性。判決によると、2人は大学生の時に統合失調症と診断されたが、初診日が20歳を超えていたため、国民年金法の規定で受給資格がないとされた。しかし、判決は「初診が20歳を過ぎていても、医師の診断によって、本来診療を受けるべき時点が20歳前であると認められれば、同法における『初診日』の要件を例外的に拡大解釈する必要がある」との判断を示した。【武本光政】