天皇、皇后両陛下は30日、東京競馬場(東京都府中市)で開催された秋の天皇賞を観戦した。皇太子、同妃時代の87年に観戦したが、即位後は初めて。また、昨年も天皇賞を観戦予定だったが、中越地震のため延期となった経緯がある。両陛下はこの日、武豊、柴田善臣、松永幹夫の3騎手の出迎えを受けた。
貴賓室の両陛下は、双眼鏡を手に、身を乗り出すように熱心に観戦。接戦を制したヘヴンリーロマンスがウイニングランした後、松永騎手が騎手帽を取ってあいさつすると、盛んに拍手を送っていた。
レース前には、宮内庁主馬班2人による「母衣引(ほろひき)」の演技が披露された。長さ約10メートル、吹き流し形の絹布を地面に触れないように馬を走らせるもので、戦場で矢を防ぐための武具などとして用いられたといわれる。【大久保和夫】