不要なリフォーム工事をして現金をだまし取ったとして、埼玉県警生活環境2課と東入間署は6日、大手住宅リフォーム会社「幸輝」(本社・大阪府吹田市)に対し、詐欺と特定商取引法違反(不実の告知)容疑で強制捜査に乗り出すことを決めた。7日朝から東京都大田区にある東京支店などを家宅捜索するとともに元従業員2人を逮捕する方針。同社は、悪質リフォームで全財産約4400万円を失った同県富士見市の認知症の老姉妹と契約を交わした19業者の一つ。
同社に対しては京都府警も捜査を進めており、7日朝から別の事件の容疑で本社を捜索する。県警と府警は、関係資料を押収して分析し、同社上層部からの指示など組織的な関与がなかったかも捜査する。
調べでは、2人は04年ごろ、埼玉県上尾市の高齢者宅を訪れ「補強工事をしないと地震が来た時に家が崩れる」とうそを言い、屋根裏に補強のためのL字形金具を取り付けるなど不要な工事を行い、現金数十万円をだまし取った疑いが持たれている。同社は2人の他にも数人の従業員が03年10~11月、老姉妹と屋根裏の補強工事や断熱工事など計約580万円の契約を交わしている。
同社をめぐっては、03年9月に中国広東省珠海市のホテルで、社員288人が200人弱のコンパニオンを相手に買春したとされる。中国当局は、社員3人を国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、組織売春容疑で国際手配している。
民間の信用調査機関によると、同社は通信機器の販売を目的に92年12月設立。01年8月にリフォーム業界に参入後、業績を大幅に伸ばした。従業員約560人で、04年の売上高は64億5000万円に上る。
老姉妹の問題では、19業者のうち「ハウス・ケアー・サービス」(東京都世田谷区)が、「消費者の判断力不足に乗じて契約を結んだ」として、埼玉県から特定商取引法に基づく改善指示処分を受けている。【酒井祥宏、村上尊一、和田憲二】