化学メーカー、石原産業の土壌埋め戻し材「フェロシルト」を巡る問題で、三重県警は8日午前、産業廃棄物と認識していながら、フェロシルトの処分を無許可の業者に委託したとして、廃棄物処理法違反(委託基準違反)容疑で、同社本社(大阪市)と四日市工場(三重県四日市市)の2カ所の家宅捜索を始めた。同県の告発を受けた強制捜査で、県警はフェロシルトの不正製造や不自然な販売契約の実態について全容解明を目指す。
同県が告発したのは、フェロシルトの製造・販売に関与したとされる四日市工場の元副工場長(68)と、法人としての同社。
調べでは、同社はフェロシルトを産業廃棄物と認識していながら、商品として販売。01年12月から今年4月にかけ、計約13万トンを産廃処分業の許可を持っていない四日市市と同県鈴鹿市内の業者に処分を委託した疑い。
このフェロシルトは同県亀山市辺法寺町に埋め立てられたが、石原産業が1トン当たり150円で販売する際、用途開発費などの名目で逆に3000円前後を業者に支払っていた。県はこの契約を産廃認定の主要件となる「逆有償」に当たると判断し、経費は実質的に産廃処理費とみなした。
フェロシルトは、99年1月に生産を開始。01年8月に販売を始め、03年9月には三重県リサイクル製品として認定を受けた。しかし、その後、各地の埋設地で環境基準を超える有害物質の六価クロムなどが検出された。同社は今年4月、製造を中止したが、同10月12日になって、廃液の不正混入を02年1月から続けていたことを公表した。