公正取引委員会は8日、「テレビコマーシャル(CM)取引への新規参入が困難で、報酬額の算定基準も不透明」として、テレビ局や広告業界などに取引慣行の改善を求める調査報告書を発表した。報告書に強制力はないが、公取委は「継続的に自主的な改善を促したい」としている。
報告書は、現行のCM契約が、大手広告会社がCM枠の大部分を確保する慣行になっており、販売枠についてテレビ局側の情報開示も少ないことなどが、広告会社の新規参入障壁になっていると指摘。「放送の公共性から、新規参入を促すことが必要」として、CM枠の価格表を明らかにし、CM枠の販売に広告会社による入札制を取り入れることなどを提案した。
テレビ広告費は年間総広告費の35%を占め、そのうち電通、博報堂DY、ADKの上位3社のシェアが65%を占めている。公取委による広告業界の調査は26年ぶり。【坂井隆之】