優秀な学生はお望みの学部へ--。東京大(小宮山宏学長)は1~2年の学部前期課程から後期課程に進む際、成績優秀者には、入学したすべての科類から、すべての学部に進学する可能性がある「全科類」枠を06年度の新入生から導入する。一方、導入後、例えば文科1類から従来は全員が法学部に進めたが、成績次第では必ずしも「全入」とはいかない場合も出る。日本を代表する大学がアメとムチで学業のレベルアップを促す異例の取り組みと言え、大学改革がどこまで進むのか注目される。
同大では、入学1年半後に学生の志望と成績によって、後期課程の学部・学科などを決める進学振り分け制度を実施している。従来は文科1類から法学部、文科2類から経済学部、理科3類から医学部医学科には前期課程を終えた全員が自動的に進学できた。
同大が15日発表した06年度入学者募集要項によると、新制度では成績による振り分けを行う。主に成績優秀者の選択肢を増やすため、教養学部後期を除く全学部に「全科類」枠を設け、文系から理系、理系から文系を含め、より自由な進路変更を認める。
例えば、法学部は受け入れ予定数415人のうち、文科1類からは395人(入学定員415人)に絞り、14人を「全科類」枠に割り振る。理科全類を対象とした6人の枠も加えると、文科1類の20人が予定数からあふれる形だ。
全科類枠は学部によって差があり、法、工、医各学部は予定数の1割を下回る一方、最大は4割を超す教育学部までさまざま。同大は「安易な進路変更を奨励するものではない。強い動機と優秀な成績があり、場合によっては進学先の『要求科目』の履修をこなす、かなりハードな努力をすれば、変更も不可能ではなくなるのが趣旨」とくぎも刺している。【長尾真輔】