マウスの生殖細胞が卵子や精子に細胞分裂する際に欠かせないたんぱく質を、松居靖久・東北大加齢医学研究所教授（発生生物学）の研究グループが世界で初めて発見した。ヒトも類似したたんぱく質を持っており、不妊症の原因解明に役立つ可能性があるという。１７日発行の英科学誌「ネイチャー」に発表する。

　細胞内の核には、生物の母親と父親に由来する遺伝子が１セットずつ、計２セット存在する。そのうち、生殖細胞は、双方の遺伝子の一部を組み換え、続いて１セットの遺伝子のみを持つ卵子か精子に減数分裂する。その際、遺伝子の組み換えを促すたんぱく質が存在することを、研究グループがマウスを使った実験で確認し、「マイセッツ」と名付けた。

　マイセッツの遺伝子を持たないマウスを作って調べた結果、減数分裂が止まり、卵子や精子にならないことが確認された。ヒトの不妊症の一因として遺伝子の異常が指摘されており、マイセッツ遺伝子の欠損もその原因である可能性が高いという。【青木純】