世界で最も波長の短い光を出す発光ダイオード(LED)を、NTT物性科学基礎研究所(神奈川県厚木市)が開発した。
5年後の実用化を目指しており、DVDの大容量化や有害物質の分解などに応用が期待される。18日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
LEDの最短波長はこれまで、窒化ガリウムを使ったもので365ナノ・メートル(ナノは10億分の1)だったが、同研究所の谷保芳孝研究員らは窒化アルミニウムの結晶を使い、波長210ナノ・メートルの光を出せるLEDの開発に成功した。
ぎりぎり目に見える紫色の光は波長が400ナノ・メートル程度。今回はその半分で、紫外線の中でも波長が短い遠紫外光と呼ばれる。
DVDなどの情報記憶装置は、読み書きに使う光の波長が短いほど記憶できる情報量が増え、大容量化に役立つ。
また、光は波長が短いほどエネルギーが高いため、ダイオキシンやPCBなどの分解のほか、ナノテクノロジーにも使える。
窒化アルミニウムはこれまで、結晶を作る際に不純物が混ざりやすいうえ、半導体の性質を持たせるのが困難な物質だった。谷保研究員らは、製造時の温度条件や材料の吹き付け方法などを工夫することで、これらの課題を克服した。
(2006年5月18日3時10分 読売新聞)