他人名義の携帯電話が大量に販売された携帯電話不正利用防止法違反事件で、これらの携帯の名義を得るために多重債務者らと虚偽の養子縁組を行ったとして、愛知県警は14日、携帯の卸元組織メンバーの横浜市南区の携帯電話販売業、清水弘一(42)と埼玉県川越市の元会社役員、奈良哲夫(63)の両容疑者を、電磁的公正証書原本不実記録容疑で逮捕した。出回った携帯の一部は振り込め詐欺に使われた形跡がある。清水容疑者は「約10万台(の携帯)を入手して販売した」などと供述しており、県警は流通経路の解明を進める。
調べでは、2人は04年6月ごろ、住所不定、無職の男性(31)と養子縁組したように装い、市役所に届け出た疑い。男性は多重債務者で、借金返済の代わりに養子縁組させられたという。2人はこの男性名義でプリペイド式携帯電話を約200台購入し販売していた。
この事件では、携帯電話販売の違法広告をネット上に掲載したり、他人名義の携帯電話を販売したとして、東京都杉並区のブローカーの男(23)が携帯電話不正利用防止法違反容疑で既に逮捕されている。
この男が販売したのと同じ法人名義の携帯が全国で約9000台流通していることが分かっているが、この法人の役員に、奈良容疑者が就いていたことが判明した。このため、県警は、同一法人名義の携帯の違法な契約や販売についても関与した疑いが強いとみている。【加藤潔】
毎日新聞 2006年6月14日 14時01分