東京都立府中病院(東京都府中市)に脳内出血で入院中の50代女性が27日夜、臓器移植法に基づく脳死と判定された。同法に基づく脳死判定は48例目、移植は47例目になる。今回、同病院の手術室の開きを待つため、脳死判定から丸1日以上たっての臓器摘出となるが、日本臓器移植ネットワークは、「(人工呼吸器により)脳死患者の血圧などが安定していれば、臓器の状態は悪くならない」としている。
同ネットワークによると、心臓は埼玉医科大病院で10代の女性に、肝臓は北海道大病院で20代の男性に、すい臓と片方の腎臓は東京女子医大病院で30代の女性に、もう片方の腎臓も東京女子医大病院で60代の女性に移植される見通し。肺は医学的な理由で移植を断念した。
臓器摘出手術は29日未明に行われる予定で、脳死判定から丸1日以上経過して実施は異例。青木信彦院長は「日中は予定の手術などで、手術室がすべて埋まっていることから、(摘出のスケジュールは、ネットワークから派遣された)移植コーディネーターが最終的に判断した」と説明している。同ネットワークは「脳死判定された患者の状態が急変すれば対応できる準備はしている」と話している。【下桐実雅子、大場あい】
毎日新聞 2006年6月28日 10時28分