奈良県斑鳩町教委は27日、法隆寺の南大門近くから、彩色がある壁材の破片が多数出土した、と発表した。付近からは04年にも同様の破片が見つかっており、今回も「斑鳩寺」と呼ばれた創建時の法隆寺とされる若草伽藍(がらん)(7世紀初め)の建物にあった、国内最古の寺院壁画片とみられる。樹木を描いたとみられる壁画片が新たに見つかり、中国・隋の時代に描かれた敦煌の絵画の樹木に似ているとの識者の指摘もある。
今年2、3月に、04年の調査地から北側に20メートル離れた地点(4平方メートル)を調査。平安時代以降に掘られた東西の溝から、鎌倉~室町時代の土器片のほか、壁材の破片が約270点出土した。
このうち彩色のある壁画片は約80点あった。最大7×6センチで、細かく割れていた。奈良文化財研究所の検査で、鉄などの顔料(絵の具)の成分を検出した。この中で、団子状の暗褐色の葉が、黄土色の枝の上に乗ったような図柄のものが1点見つかった。また、建物の丸い柱に接していたとみられる、とがった断面のあるものも見つかった。
同町教委は「樹木の破片は壁画の構図を考える上で貴重な資料。とがった断面の壁画片も、壁画が建物の柱と柱の間に飾っていたものであることを示す証拠」としている。7月15日午前10時から午後5時まで、同町中央公民館で一般公開される。無料。
毎日新聞 2006年6月28日 10時53分