「水谷建設」(三重県桑名市)の脱税事件で、法人税法違反容疑で逮捕された元会長、水谷功容疑者(61)は、東京地検特捜部の調べに対し「当初から裏金作りが目的だった」と供述していることが関係者の話で分かった。特捜部は、不正経理で捻出(ねんしゅつ)された裏金の使途を追及している模様だ。
これまでの調べによると、水谷建設は98年、福島県いわき市郊外の原野を約1億円で購入した際、約8億円で買ったように仮装。この土地を03年7月、約2000万円で売却したように見せかけ、差額分を土地売却損として計上して03年8月期の所得を隠した疑い。隠した所得のうち約2億円は、グループ会社を通じて水谷建設に還流させ裏金化していた。
関係者によると、こうした不正な経理処理について、水谷元会長は「工事を受注した際には関係者への対策費などとして帳簿に載せられない裏金が必要」などと、当初から裏金作りが目的だったと特捜部に供述しているという。
特捜部は、裏金の詳細な使途についてさらに調べを進めているとみられる。
毎日新聞 2006年7月17日