【パリ福井聡】国連安保理の決議案で米仏が合意した背景には、歴史的にレバノンとの関係が深いフランス側の強い調停の意思が働いた。
シラク仏大統領は5日、「フランスが提唱してきたように、敵対的行為を完全に停止した上で、恒久的な停戦と長期的解決に向けて協議するものだ」との歓迎の声明を発表した。フランスはこれまで一貫して「戦闘停止前の国際部隊派遣は無意味」と主張し、今回は米国がこの基本方針を受け入れた。一方、米国が難色を示していた「即時停戦」との言葉については仏側も「戦闘の完全停止」との表現で譲歩した。
合意に至ったのは、米仏ともヒズボラの武装解除を求めていたことと、国際部隊ではレバノンとの歴史的なつながりが深い仏部隊が主導する立場に就く、との認識で一致していたためだ。
ライス米国務長官が4日になって妥協姿勢を示したことで、仏側もヒズボラの攻撃に対するイスラエルの防衛的な行動の面も認め、「即時停戦」の表現については譲歩する形で収まった。
毎日新聞 2006年8月6日