15年間凍結したマウスから取り出した精子から生まれたマウス=理化学研究所提供
マウスの体をまるごと冷凍庫で15年間凍結し、解凍後に取り出した精子を使って子どもを誕生させることに、理化学研究所などの研究チームが成功した。14日付の米国アカデミー紀要電子版に発表した。同研究所の小倉淳郎・遺伝工学基盤技術室長は「マンモスなど絶滅動物でも永久凍土などに体が残っていれば、精子を近縁種の卵子に入れ、子どもを作れるかもしれない」と話す。
研究チームは、東京都内の大学の冷凍庫(氷点下20度)で91年から15年間、保存されていたマウスを使った。精巣を取り出して解凍、その中の精子を顕微鏡下で新鮮な卵子に注入(顕微授精)して214個の受精卵を作った。これを雌マウスに移植した結果、29匹の子どもが生まれた。うち27匹が無事に育ち、その子どもも正常に誕生した。
また、別のマウスの精巣をそのまま氷点下80度で1年間凍結した後、解凍して取り出した精子を使っても、子どもを誕生させることに成功した。
精子の保存は従来、精巣から精子を取り出して保存液に浸し、液体窒素を使って氷点下196度で凍結していた。管理に手間がかかるのが難点だったが、小倉室長は「マウスの精巣や個体を冷凍庫へ入れるだけで、簡単に精子を保存できるようになる」と話している。【永山悦子】