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皇室典範:継承者迎え新時代 皇室に41年ぶり男児

作者:渡辺創、…  来源:mainichi-msn   更新:2006-9-7 8:30:17  点击:  切换到繁體中文

 秋篠宮妃紀子さまの男児出産で、女性・女系天皇を容認する皇室典範改正の見送りが決定的となった。次期首相の最有力は男系維持派と目される安倍晋三官房長官であることも拍車をかける。こうした状況を受けて、政界には、女系天皇論に代わって男系維持派に巻き返しの動きも出てきた。皇位の安定継承のためにいずれ典範改正が必要な状況は変わらない。【渡辺創、竹中拓実】

 ◇「先送り」政界安堵

 6日午後、首相官邸で開かれた政府・与党連絡会議で小泉純一郎首相の口は滑らかだった。冒頭「すこやかに成長されることをお祈りする」と発言すると、終わり際には脱線した。

 「帝王切開はいつからあるんだ。シーザーの時代からだろう。シーザーが生まれた時かシーザーの子どもだったのか」。帝王切開の語源が、古代ローマの英雄、シーザーが生まれた方法にちなむとの説があることを引用して軽口をたたいた。

 中曽根康弘元首相も「(皇室典範を)改正する必要はなくなった。そういう安心感が全国民の皆さんにも起こっていると思う」と東京都内の事務所前で記者団に笑みを浮かべた。

 そもそも、典範改正論議が起きたのは政権内に皇位継承への危機意識が生じたからだった。しかし、41年ぶりの男児誕生で「当面の危機」は回避され、「(改正は)少なくとも40年ぐらい先の話でしょ」(麻生太郎外相)という空気すら出ている。女系容認派の自民党議員も「男児誕生で改正の前提が崩れたのは確かだ」と認めざるを得なかった。

 こうした中、女系天皇容認の典範改正に反対した男系維持派が、逆の立場から改正への訴えを強め始めている。

 例えば超党派の保守系議員でつくる日本会議国会議員懇談会。下村博文事務局長は6日、新たな超党派議連を設立し、皇位の男系維持を目的とした改正を検討する考えを明らかにした。旧宮家の男系男子を皇族に復帰させる案が有力で、下村氏は記者団に「男系男子を維持する立場からも、今の皇室典範では危機を迎えることは確かだ」と語った。

 今後は、安倍氏がこうした動きに連動するかどうかが焦点となる。ただし、政府内には「(女性・女系天皇容認の)有識者会議の報告書に反対できるのか。小泉さんにつばをかけることになる」との指摘の一方で、男児が生まれたことで女系容認派にも男系維持派にも肩入れせずに済むとの見方も出ている。

 「安倍さんの性格からして、改正話を持ち出すことはないだろう」。与党幹部はそう予想したうえで、「安倍さんにとって幸先のいいスタートになった。彼は強運かもしれない」と声をひそめた。【渡辺創】

 ◇旧宮家「後続復帰難しい」

 皇室伝統の男系を支持する勢力が、男系を維持するための「切り札」とみるのが旧宮家の男系子孫だ。この人たちが皇族に復帰したり、皇族の養子となること、女性皇族と結婚することなどで、男系を維持できるからだ。しかし、昨年の「皇室典範に関する有識者会議」の報告は「国民の理解と支持、安定性など、いずれの観点から見ても問題点がある」としている。実際、旧宮家の子孫からは戸惑う声も漏れる。

 47年に皇籍離脱した旧11宮家は、現皇室と約600年前に分かれた遠縁であることも、有識者会議が国民の理解を得られないとした理由の一つだ。このうちの一つ、竹田宮家の離脱当時の当主、故竹田恒徳氏の三男が、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(58)だ。

 その長男恒泰さん(30)は、皇室の歴史や宮家の役割をつづった著書を今年1月に発刊した。その後も講演やブログで意見を発信している。皇籍復帰については「旧竹田宮家は、宮家の中でも端っこの家柄。マスコミにも出ていて(復帰は)ふさわしくない」と考える。しかし、一部から「皇族になりたがっているのでは」と心ない批判も聞こえてくるという。

 旧久迩宮(くにのみや)家に生まれ、香淳皇后のおいにあたる久迩朝宏さん(61)は大手電器メーカーで製品開発など担当してきた。小さいころは宮家生まれがコンプレックスになり、同僚らともその話題は避けていたが、最近、「男系でつないできた伝統を壊して良いのか。旧宮家の男子が一定の役割を果たすべきでは」との考えが強まってきたという。

 だが、自らの皇籍復帰には「皇族には血統だけでなく資質が必要だ。旧宮家の若い独身男性は自由を味わっており、実際に皇族に戻るのは難しいし、なりたいとは言わないでしょう」と語る。

 ◇「女系容認」「直系優先」…有識者会議の最終報告

 皇室典範をめぐっては、現在の皇室の構成を考えると、いずれ皇位継承者がいなくなるとの事情を背景に、少なくても97年から内閣や宮内庁のOBらによって極秘の検討会が開かれていた。検討会では、天皇家の長女紀宮さま(黒田清子さん)即位のシミュレーションも行われた。

 政府が初めて本格的にこの問題に取り組んだのが、小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」だ。昨年1月から17回の公式会合を開き、昨年11月にまとめた最終報告は「女性・女系天皇の容認」のほか、(1)皇位継承順位は直系優先で出生順の「長子優先」(2)皇室の範囲は、天皇との世数を限定しない現行の永世皇族制を維持(3)女性皇族は婚姻後も皇族にとどまる--などを骨子としている。

 報告には、皇室の伝統である男系維持を主張する学者や識者らを中心に、「有識者会議のメンバーは素人ばかり」「議論が拙速すぎる」「皇族の意見を聞かないのはおかしい」などの異論が出た。

 政府は、今年3月にも有識者会議の報告をもとに、皇室典範の改正案を国会に提出する予定だったが、2月に秋篠宮妃紀子さまの懐妊が明らかになり、提出の動きを凍結していた。

毎日新聞 2006年9月7日


 

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