断絶した皇族「有栖川宮家」の後継者を装って結婚披露宴を開き、祝儀をだまし取ったとして詐欺罪に問われた無職、北野康行(44)、同、坂本晴美(47)両被告に対し、東京地裁は11日、いずれも懲役2年2月(求刑・懲役3年)を言い渡した。大島隆明裁判長は「皇室、皇族を崇敬する参会者の心情に巧みに付け入り、踏みにじった犯行で悪質」と指摘した。
公判で北野被告は「皇族から息子と教えられ、有栖川識仁(さとひと)を名乗るよう言われた」などと無罪を主張。判決は「被告の弁解は旧宮家の名前を自称するための荒唐無けいな作り話であることは明白」などとして退けた。
一方、判決は起訴事実となった137人の招待客のうち政治団体「日本青年社」関係者76人については「幹部の一部は北野被告が皇族の関係者でないと知っていたと推認される」として詐欺罪は成立しないと判断した。
判決によると、両被告は知人の会社役員(45)=有罪確定=と共謀。有栖川識仁を名乗った北野被告が坂本被告と結婚したとして03年4月に東京都内で披露宴を開き、招待客ら61人から祝儀名目で計294万5000円と絵画1枚をだまし取った。【佐藤敬一】
毎日新聞 2006年9月11日