横浜市が医療法に基づく医療機関への立ち入り調査で無資格助産の実態を調べていなかった問題で、神奈川県も03年以降の立ち入り調査で無資格助産について調べていなかったことが11日、分かった。立ち入り調査の徹底を国に訴えている「陣痛促進剤による被害を考える会」(事務局・愛媛県今治市)は「自治体の調査はあまりにいいかげん」として、近く厚生労働省に調査マニュアルの作成などを強く求める。
神奈川県などによると、01年に看護助手が助産行為をした事件が問題化し、厚労省から無資格助産の実態を調査するよう通達があった。このため01~02年度は立ち入り調査で無資格助産をチェックする項目を設けたが、03年度以降は「2年間の調査で違反が明らかにならず、医師や助産師らは1年でたくさん増減するものでもない」(医療課)として検査項目から外したという。
同県は無資格助産が社会問題になったことから、改めて県内の21病院と21診療所を実態調査する方針。一連の対応について同会の出元明美代表は「自治体がいかに無資格助産をいいかげんに考えているかという表れだ。調査をしている自治体でも、医療機関の責任者に口頭で質問して終わり、という場合が多い。国は調査マニュアルを早急に作成すべきだ」と話している。【稲田佳代】
毎日新聞 2006年9月12日