【カイロ高橋宗男】ダマスカスで12日に起きた米国大使館襲撃事件は、03年のイラク戦争以降、米・シリア関係の緊張が高まり続ける中で発生した。
米政府はイラク戦争後、イラクへの外国人武装勢力の流入に対する十分な対策を取っていないとして、シリア政府を糾弾してきた。また、米国がテロ組織に指定するパレスチナのイスラム原理主義組織ハマスやレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラを支援しているとし、イランとともにシリアを「テロ支援国家」と名指ししている。
05年2月のレバノンのハリリ元首相暗殺事件ではシリアが関与しているとして、米国は「深い怒り」を表明し、即座に駐シリア米大使を本国に召還。これ以降、在シリア米国大使館は大使不在の状態が続いている。
一方、シリア側は米国の非難に反論。今年7月から8月のイスラエル軍のレバノン攻撃では、アサド大統領が「米政権の政策がイスラム過激派の伸長を招き、中東地域を不安定化させている」と述べるなど、ブッシュ政権の中東政策の失敗を強調、批判を強めている。
毎日新聞 2006年9月13日