ロック歌手・矢沢永吉さんらが所属したバンド「キャロル」の解散ライブのビデオとDVDを巡り、撮影した映像制作会社(東京都渋谷区)が著作権を理由に、販売会社(港区)に製造・販売の差し止めなどを求めた訴訟の控訴審で、知財高裁は13日、差し止めを認めた1審・東京地裁判決(05年3月)を取り消し、原告逆転敗訴の判決を言い渡した。塚原朋一裁判長は「制作会社が著作権者だったが、撮影代金の支払いを受けてマスターテープを渡し、権利を譲渡した」と指摘した。
問題となったのは75年のライブを収録した「燃えつきるキャロル・ラスト・ライブ」。制作会社が撮影・編集してテレビ局に番組として納入。その後キャロルの所属会社がマスターテープを買い取り、84年にビデオを発売。この所属会社から営業譲渡を受けた販売会社が03年にDVD化した。
1審判決は、制作会社を著作権者と認定したうえで「ビデオ化は許諾したがDVDは許可していない」と著作権侵害を認め、差し止めと約5000万円の賠償を命じていた。
毎日新聞 2006年9月14日