今回の選挙結果は来夏参院選の勝利が最重要課題の安倍晋三首相が「選挙の顔」の力を示しただけに、安倍政権には追い風だ。政府・与党は北朝鮮問題への対応や教育基本法改正案成立を目指す臨時国会でも強気の運営で臨むとみられる。民主党は新政権との対決の出はなをくじかれた形で痛手。小沢一郎代表で参院選を戦う基本に変化はないが、同氏の求心力に陰りを生じそうだ。
両選挙区とも自民が議席を持っていたことから、自民は仮に1勝1敗でも政権に打撃を与えかねないと判断。公明党も強い支援態勢を取り、与党総力戦で臨んだ。首相は22日夜、自民党の中川秀直幹事長に電話で「自公連立与党に大きな力を与えてもらった。国民に公約した政策の実現に全力を尽くしたい」と伝え、勝利の意義を強調した。
民主は格差や社会保障問題を重視、小泉改革路線を継承した安倍政権批判を展開したが、首相の中韓歴訪、北朝鮮の核実験問題などの外交問題に埋没した。【鬼木浩文】
毎日新聞 2006年10月23日