【中日0-0西武】中日の育成選手、中村紀洋内野手(33)が8日の西武戦(ナゴヤドーム)に「6番・三塁」で出場。7日の本塁打に続き2安打を放ちながら7回、左ひじに死球を受け途中交代した。検査結果は打撲で骨に異常はなかったが、同個所は昨年8月11日のソフトバンク戦でも死球を受け長期離脱した古傷だけに、予断は許さない。残り1枠の支配下選手登録へ追い風が吹く中、思わぬ災禍に見舞われた。
ノリまくっていた中村紀がアクシデントに見舞われたのは7回だった。西武の3番手・星野の投じた速球が左ひじを直撃。苦もんの表情でうずくまる背番号205にすぐさま代走が送られ、中村紀はそのまま名古屋市内の病院へと直行した。
育成選手としてオープン戦初出場となった7日の西武戦では7回に左越えアーチ。落合監督の期待に“一発回答”で応えた。この日も第1打席で中越え二塁打、2打席目も中前打とチーム唯一のマルチ安打を放つなど絶好調。支配下選手登録、さらには開幕1軍、いや開幕スタメンに向けて当たりまくっていた中で本当に“当たって”しまった。
幸い骨には異常は見当たらず、診断は「左ひじ打撲」。しかし、球場に戻ってきた表情は明らかにこわばっていた。
「当たった瞬間は“アーッ”と思うた。去年ぶつけられた場所とまったく一緒。まともに当たった。腫れがひどい。ボール1個分ぐらい腫れてます…」
去年とは06年8月11日のソフトバンク戦。斉藤和から左ひじに死球を受けた。その後は出場選手登録を抹消され、一度は戦列復帰したものの、わずか2日で再度抹消。患部に大量の水と血液がたまり、バットが振れないほどの重症だった。そしてシーズンが終了。オリックスから戦力外通告を受け、中日に拾われるまで野球人として“生死”をさまよったのも、元凶はこの時の死球にあった。そのトラウマがあるだけに中村紀は不安を募らせたが、残り1枠しかない支配下選手登録に向けて泣き言は言っていられない。
「あの死球までは結果を出せていたのでアピールできたとは思う。大事な時期なので、驚異の回復力を見せたりますよ!」。10日からの楽天2連戦への出場に並々ならぬ意欲をみせた。
この日は中村紀が6番で三塁を守り、昨季までの正三塁手だった森野が「7番・左翼」と開幕オーダーを思わせる布陣。夢の途中でリタイアするわけにはいかない。昨オフからのお騒がせ男は開幕を間近にしても相変わらずの“お騒がせ”だ。
スポーツニッポン 2007年3月9日