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ネット依存:増える小中生 居場所は「秘密基地」

作者:近松仁太…  来源:www.mainichi-msn.co.jp   更新:2007-5-28 22:40:41  点击:  切换到繁體中文

 
顔の見えない大人が書いた日記に返事を書き込む=広島県尾道市で19日午後5時15分、近松仁太郎撮影

 インターネットの中に、「居場所」を求める子どもが増えている。うるさい親もいなければ、厳しい校則もない。パソコンのスイッチを入れるだけで、気の合う仲間と話せる“秘密基地”が現れ、住む地域も世代も超えた相手とも知り合える。だが今、友達の実名を書いて立ち直れなくなるまで非難したり、大人も目を覆いたくなるほど過激な性の話題が行き交うケースが増えている。“仮想世界の遊び場”の光と影を探った。【近松仁太郎】

 広島県尾道市に住む中学1年の「jun」(12)。小学6年の時に会員制サイト・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を開設した。陸上部に所属し、よく日に焼けているが、口数は少なく、控えめな印象の少年だ。

 午後6時過ぎ、部活動を終えて帰宅すると、大学勤めの父親(46)の書斎に入って、パソコンのスイッチを入れる。パスワードを入れると、自分で描いた似顔絵と「職業:中学生」「好きなマンガ:こちら葛飾区亀有公園前派出所」などが管理人のプロフィルとして紹介される。会員は10~46歳の約20人。全員のホームページ(HP)を次々に開く。「ぼくも温泉大好きです!」。大分県の30代の会員男性の日記にコメントを書き込んだ。

 近所に住む友人ら4人の他は、ゲーム関連のサイトなどで仲良くなった「信頼できる」大人たちを会員として招いた。「さまざまな人とつながりたい」と開設したサイトで、「自分の世界が広がった気がした」と笑顔を見せる。

 ◇アクセス殺到、学校裏サイト

 「絢です。小6です H大好きです! 誰か犯してくれませんか☆」

 インターネットで見つけたサイトの一つに、小学生が書いたとは思えない言葉がいくつも目に飛び込んできた。

 「学校裏サイト」と呼ばれる掲示板の書き込みの一部。学校の公式ページとは異なり、子供たちが、自分たちだけのために立ち上げたものだ。

 部活動の連絡や定期試験の情報交換などに活用される場合もある。しかし、仮名で書き込めるため、わいせつ画像が横行することも珍しくない。自分の裸の写真を公開する女子中学生すらいる。また「言い争い」がいったん始まると、陰湿な書き込みの応酬が続く。

 子供たちのネット事情に詳しい群馬大社会情報学部大学院の下田博次教授によると、学校裏サイトは現在、少なくとも1万5000件ある。「大人が発信する有害情報の被害者になる子供たちが有害情報の発信者にもなっている」と下田教授。

 今年4月には、女子中学生への実名の中傷を放置した名誉棄損ほう助の疑いで、学校裏サイトを管理していた大阪市内の会社役員(26)が大阪府警に書類送検された。書き込んだのは、小学校時代の塾仲間の少女(13)。名誉棄損の非行事実で少女は児童相談所に通告された。

 裏サイトに使われるのは、無料のレンタル掲示板。画面に出会い系サイトや子供用の下着販売の広告が載るのも珍しくはない。

 掲示板を運営する業者は別のサイトで掲示板の書き込み数の多い順にランキングして紹介。子供たちは、他校の裏サイトに負けまいと競って書き込みをするため、アクセス数が増え、業者に入る広告料も自然と上がる。

 「子供たちが悪質な業者に操られている。ネットを見る子供を持つすべての親は『まさか、うちの子に限って……』という甘い考えを捨てるべきだ」。下田教授はそう警告する。

 ◇親子で利用ルール確立を

 子どもたちを有害サイトから守るにはどうしたらよいか--。NPOやパソコンメーカーは小中学校に出向き、安全なネット利用法を子どもや親、教師などに紹介するなど対策に力を注いでいる。

 横浜市のNPO「情報セキュリティフォーラム」は年間10回前後、主に教師向けにネットの安全利用法を講義する場を設けている。メンバーの寺田慶治さん(51)は「都市部より地方に住んでいる子どもの方が、ネットにはまりやすい」と指摘する。小中高校生が集まる掲示板を開くと、地方の学校名が目立つ。市街地にゲームセンターや大きな商業施設など遊び場が少ない地方都市の子どもは、ネットでつながりを求める気持ちが強いのかもしれない、と寺田さんは分析する。

 IT関連企業「ネットスター」(東京都)は昨年12月、小中学生のネット利用者約480人を対象に実態調査を実施。利用環境を尋ねたところ「保護者の目の届かないところでネットを利用している」との答えが8割に上ったという。携帯電話からのアクセスが多い、子どもの実態を反映しているとみられる。

 「ネットは、子どもたちにとって秘密基地みたいなもの」と寺田さんは言う。「『あれはだめ』『これはだめ』と禁止するだけでは、有害サイトへの免疫も作れない。パソコンが苦手な親も、できるだけ子どもに話しかけ、一緒にネット上の歩き方を見極めてほしい」と親の見守り方の重要さを説く。

 また、02年から子ども向けに「ネット安全教室」を開催するなど、業界内で早くから対策を講じてきたNEC(東京都)社会貢献室の山辺清和さんも「子どもをネットの世界に1人で置くのは危険。親子で話し合いながら利用する際のルールを作ることから始めてほしい」と呼びかける。

毎日新聞 2007年5月27日 3時00分


 

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