星出さんはこの日、午後３時半過ぎにディスカバリーの格納庫に搭載された実験室をＩＳＳのロボットアームでつかみ、手動でゆっくりと取り出した。その後、約２時間半かけて慎重にＩＳＳの結合部まで移動させた。

　宇宙空間の低温で内部の液体が凍らないよう、実験室のヒーターに電源を供給できるＩＳＳのロボットアームを、日本人として初めて操作した。

　実験室は直径４．４メートル、長さ１１．２メートルの円筒形。バスほどの大きさで、人が入れる施設としてはＩＳＳの中で最大となる。１０個の実験装置を置くことができる。無事に起動できれば宇宙実験が可能になる。

　実験室の移動を終えた星出さんは、「きぼう」を開発した宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）筑波宇宙センターのチームに「筑波の皆さん、おめでとう。今、ＩＳＳに新しい希望（きぼう）が取り付きました」と呼びかけた。

　先輩の宇宙飛行士でロボットアームの名人、若田光一さん（４４）は実験室の設置を見届け「星出さんは完ぺきな仕事ぶりで、安心して見ていられる。真っ暗な宇宙や青い地球を背景に、美しいきぼうの実験室が動いているのを見て、この仕事をやってきてよかったと実感した」と話した。