【フランクフルト＝加藤貴行】独フォルクスワーゲン（ＶＷ）は９日、メキシコの完成車工場に10億ドル（約1200億円）を投じ生産能力を増強すると発表した。多目的スポーツ車（ＳＵＶ）の新型車を生産し、2017年から米国を含め米州全体で販売する。ＶＷは14年にグループ販売台数が１千万台に到達したが、低迷する北米販売のテコ入れが課題。中核拠点のメキシコでＳＵＶを追加し巻き返しを狙う。

メキシコ南部プエブラの工場で、新型の「ティグアン」の３列シートを生産し、新たに現地で2000人の雇用を見込む。ＶＷがグループで推進する主要部品や車台の共通化に対応し、コスト削減を図る。

ＶＷはメキシコで14年から主力の小型車「ゴルフ」の新型車の生産を始め、傘下の独アウディも16年から現地生産を始める計画。部品工場の集積も進んでおり、堅調な米国やメキシコ市場の攻略に動く。

一方、ＶＷが11年に生産を始めた米国工場は中型車の米国での販売不振が続き、テコ入れとして新型ＳＵＶの追加を決めた。一連の対策で米国勢や日本勢の牙城に阻まれている北米で反転攻勢に動く。