東京大空襲、幼い犠牲多く 1万7000人の名簿分析
10万人超の死者が出たとされる太平洋戦争の東京大空襲で、年齢が分かっている犠牲者約1万7千人の名簿を分析した結果、4割近くが20歳未満で、特に4歳以下の乳幼児が多かったことが分かった。墨田区立すみだ郷土文化資料館の田中禎昭専門員は「空襲の生存者からも乳幼児の犠牲者が多かったと証言が出ていたが、統計的にも裏付けられた」としている。
東京都などは1951~55年、遺族の申告などをもとに約3万人分の犠牲者名簿を作成した。原資料が2001年に発見され、同資料館と民間の「東京大空襲・戦災資料センター」が共同で、年齢と性別がほぼ判明している1万7254人のデータを分析した。
5歳ごとに見ると、0~4歳の死亡者が1942人(11.3%)と最も多く、次いで15~19歳の1871人(10.8%)、5~9歳の1554人(9.0%)と続いた。20歳未満で全体の38.4%に上っていた。
1歳ごとに見ると、最も多かったのは2歳で、478人(2.8%)だった。一方、10歳は145人(0.8%)、11歳は156人(0.9%)と少なく、学童疎開で東京を離れていて難を逃れたとみられるという。
男女別は男性が43.7%、女性が56.3%。20~24歳は女性が男性の2.8倍、25~29歳では2.5倍にも上っており、田中専門員は「空襲が女性、幼い子供の多くの命を奪ったことを示している」と指摘した。
同資料館は9月23日まで企画展「東京大空襲と失われた命の記録」を開催。名簿の分析結果や、戦争孤児の証言、空襲体験者が記憶をもとに描いた絵も展示している。〔共同〕