昨年完成し、全国の劇場や大学、映画祭で上映が続いているドキュメンタリー「ＭａｒｉｎｅｓＧｏＨｏｍｅ（マリーンズ　ゴー　ホーム）」は、辺野古、韓国・梅香里、北海道・矢臼別が舞台。三つの地域で米軍施設などに反対する住民たちの闘いを丹念に描いた。

　秋には、米国の大学などで上映されることになった。沖縄の大学生を連れ、平和や米軍基地について日米の学生が議論する場も設けるつもりだ。

　「本当は、移り住んだ北海道に腰をすえ、静かで深いドキュメンタリーを撮りたい」と、とつとつと語る。しかし「世界は激しく揺れている。時代に向き合わざるを得なかった」と、２年間かけて撮影した。

　早稲田大での学生時代、水俣病の原因企業を告発し、被害者を支援する運動に参加した。卒業後、故郷の市役所に就職したが、２年足らずで退職。運動を通じて知り合ったドキュメンタリー映画監督の土本典昭さんの助監督になり、映画の道に入った。「ドキュメンタリーを撮るということは、人々とともに未来につながる希望を探し、その過程を記録すること」が持論だ。【中川博史】

　【略歴】藤本幸久（ふじもと・ゆきひさ）さん。三重県出身。９２年に「教えられなかった戦争－侵略・マレー半島」で監督デビュー。５２歳。上映問い合わせは、事務局（０３・５３３８・９４９０）。

毎日新聞　2006年7月26日