【ＮＱＮニューヨーク＝神能淳志】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発した。終値は前日比76ドル83セント（0.5％）高の１万6330ドル40セントだった。新たな取引材料に欠くなか、前日に大きく下げた反動から目先の戻りを期待した買いが優勢だった。

朝方はダウ平均が下げる場面があった。10日はアジアや欧州の株価指数が総じて下げた。世界の株式市場の不安定な状況が続いていることが投資家心理を冷やし、米株式にも売りを誘った。

売り一巡後にダウ平均は上昇した。９日に主力のスマートフォン（スマホ）「ｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）」などの新製品を発表したアップルが２％を超えて上昇して相場をけん引した。製薬のファイザーやメルク、医療保険のユナイテッドヘルス・グループを中心に買いが集まり、ダウ平均は上げ幅を一時188ドルまで広げた。

ただ、取引終了にかけて次第に伸び悩んだ。来週16～17日には米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）が控える。利上げを予測する市場参加者も残り、米株式への積極的な買いは続かなかった。不安定な世界の市場動向に対する警戒が強いことも相場の重荷となった。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比39.722ポイント（0.8％）高の4796.251で終えた。

業種別Ｓ＆Ｐ500種株価指数は全10業種のうち９業種が上昇した。「ＩＴ（情報技術）」や「ヘルスケア」が大きく上げたほか「エネルギー」も高かった。一方で「公益事業」が下げた。ニューヨーク証券取引所（ＮＹＳＥ）の売買高は約９億5000万株（速報値）、ナスダック市場は約18億株（同）だった。

個別銘柄では菓子大手モンデリーズ・インターナショナルが高い。コスト削減を含む中期経営計画を発表し、業績拡大を期待した買いが広がった。原油先物相場の上昇を受けてエクソンモービルやシェブロンなど大手石油株も上昇。ダウ平均の構成銘柄ではネットワーク機器のシスコシステムズやクレジットカードのビザも買われた。

一方で、カナダのスポーツ衣料メーカーのルルレモン・アスレティカが大幅安。発表した四半期決算が減益で業績見通しも市場予想を下回ったことが嫌気された。大幅な人員削減を公表したハードディスク駆動装置（ＨＤＤ）のシーゲート・テクノロジーが売られたほか、米小売り大手のウォルマート・ストアーズや建機のキャタピラーが下落した。